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動物実験とは?現状・統計・代替法と私たちにできること

動物実験は、医薬品・化粧品・化学物質などの安全性評価を目的に、動物に苦痛や死をもたらす試験です。世界的に廃止・削減の流れが加速しており、科学技術の進歩で代替法が急速に発展しています。

更新日 · 2026年8月18日

簡潔な答え

動物実験とは、医薬品や化粧品、化学物質などの安全性・有効性を評価するために、マウスやラット、ウサギなどの動物を実験に用いることです。生命倫理の観点から批判が強く、世界的に規制が進む一方、臓器チップなどの代替技術が実用化され始めています。

要点

  • EUでは2023年以降、化粧品の動物実験が全面的に禁止されており、世界的な規制強化の流れがあります。
  • 日本国内で年間に実験に使用される動物は約500万〜700万頭と推定され、その約8割がマウスとラットです。
  • 代替技術である「臓器チップ」は、ヒトの臓器の機能を模倣し、動物実験よりヒトへの外挿性が高いとされています。
  • EUの統計では、研究・試験に使われる動物の約半数が遺伝子改変マウスであり、基礎研究が最大の用途です。
  • 日本では2023年6月に「動物愛護管理法」が改正され、3R(補完・削減・精緻化)の原則が法律に明記されました。
  • 動物実験を減らすには、消費者が動物実験を行わない企業を選ぶことや、実験動物の統計や規制に関する情報を広めることが有効です。
約7,400万頭
EUでの年間実験動物数(2021年)
EUの集計による推定値(集計方法により4,500万〜7,400万頭の幅)
500万〜700万頭
日本の年間実験動物数(推定)
国内の公式統計は不完全で、大学・企業の自己報告に基づく推定
約80%
マウスとラットの割合
日本・EUともに実験動物の大部分を占める
2013年
EUでの化粧品動物実験の禁止
EU全域で化粧品の動物実験と販売を全面禁止。世界のモデルとなっている

動物実験と聞くと、多くの人は白いマウスやウサギを思い浮かべるかもしれません。しかしその実態は、科学の進歩のために毎年世界中で数千万頭もの動物が使われている、巨大で複雑なシステムです。

このページでは、動物実験の定義、使用される動物の種類と数、法的な規制の現状、そして急速に発展する代替技術について、最新のデータに基づいて解説します。動物実験について正確に知ることは、動物の権利を考える上での第一歩です。

What it is

動物実験とは、基礎研究、医薬品・ワクチンの開発、化粧品や化学物質の安全性評価、教育などの目的で、生きた動物に薬剤を投与したり、遺伝子を操作したり、外科的処置を行ったりすることを指します。日本では「動物愛護管理法」に基づき、実験動物の適正な取り扱いが定められています。

実験に使われる動物は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、サル、ウズラ、ゼブラフィッシュなど多岐にわたりますが、圧倒的に多いのがげっ歯類です。動物実験は、ヒトの病気のメカニズム解明や新薬の安全性評価に不可欠とされてきましたが、その倫理性と科学的妥当性について、近年大きな疑問が投げかけられています。

Why it matters

動物実験が重要な問題である理由は、何よりも動物が苦痛や恐怖を感じ、命を失うからです。規制があり「3R(Replacement: 代替、Reduction: 削減、Refinement: 改善)」の原則が唱えられてはいますが、現実には多くの動物が実験後に殺処分されます。

さらに、動物実験の結果は必ずしもヒトに外挿できるわけではありません。例えば、抗がん剤や抗体医薬の開発では、マウスで有効だった候補物質がヒトでは効果を示さない例が数多く報告されており、ヒトの細胞や組織を用いた研究の方が優れているという科学的なエビデンスが蓄積しています。動物実験に依存することは、動物の命を犠牲にするだけでなく、医学研究の進歩を遅らせる可能性もあるのです。

The numbers

正確な統計は国によって大きく異なりますが、欧州連合(EU)は毎年、実験動物数の詳細な統計を公開しています。最新の公開データ(2021年)によると、EU各国で研究・試験に使用された動物は年間約7,400万頭と推定されています(※集計方法により約4,500万〜7,400万頭と幅があります)。

日本では、厚生労働省や環境省が一部の統計を公表していますが、大学や研究機関全体の正確な数字は把握されていません。推定では、国内で年間に使用される実験動物は500万〜700万頭と見られており、その約8割がマウスとラットです。

EUの統計によると、実験動物の約半数が遺伝子改変マウスで、その多くが基礎研究に使われています。動物実験の目的別では、基礎研究(約42%)、薬剤などの開発・品質管理(約29%)、毒性試験(約8%)などが主な用途です。

What's changing

動物実験をめぐる状況は、近年大きく変わりつつあります。最大の転機は、2023年5月に米国のバイデン政権が署名した「FDA近代化法(FDA Modernization Act 2.0)」です。これにより、医薬品の承認審査において動物実験の成績が必須ではなくなり、ヒト由来の細胞や組織、計算モデルなどの代替法の使用が認められるようになりました。

EUでは、化粧品の動物実験と販売が2013年に全面禁止されています。また、2023年には欧州委員会が「化学物質の安全性評価における動物実験からの段階的撤退」を公約として打ち出しました。同じく2023年、欧州議会は研究・教育における動物実験を段階的に廃止するよう求める決議を採択しています。

日本では、2023年6月に改正された動物愛護管理法で、3Rの原則(Replacement: 代替、Reduction: 削減、Refinement: 改善)が初めて法律条文に明記されました。ただし、具体的な規制強化にはまだ時間がかかると見られています。

What you can do

個人には、動物実験をしている企業を避けるという選択肢があります。多くの化粧品・日用品ブランドは、Leaping Bunny(認定マーク)やPETAの「Cruelty-Free」リストに登録されており、消費者はこれらの認証を指標に商品を選べます。

また、大学や研究機関が公開している実験動物の統計や、動物実験に関する倫理審査の情報を確認し、疑問があれば問い合わせることも効果的です。動物実験を廃止するための署名活動やキャンペーンに参加するのも一つの方法です。

最も重要なのは、動物実験が「必要悪」という固定観念を疑うことです。情報を集め、議論を広めることで、動物の苦痛を減らすだけでなく、ヒトの健康にもつながるより良い科学の形を模索することができます。

よくある質問

よくある質問

世界の大半の国ではマウスとラットが最も多く、全体の70〜85%を占めます。また、遺伝子改変マウスが研究のための主要なモデルです。ウサギ、モルモット、ハムスター、ゼブラフィッシュ、ニワトリの胚なども使われますが、イヌやサルは全体の1%未満です。

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