アーモンドミルクは環境に悪いですか?
アーモンドミルクは牛乳より総合的な環境負荷は低いものの、水使用量が多いという弱点があります。特にカリフォルニアなど乾燥地域での灌漑が問題視されていますが、他の植物性ミルク(オーツや豆乳)はさらに持続可能です。
更新日 · 2026年9月5日

簡潔な答え
アーモンドミルクは牛乳より総合的な環境負荷は低いですが、植物性ミルクの中では水使用量が最も多いです。温室効果ガス排出量と土地使用量は牛乳の約4分の1と10分の1ですが、水使用量はオーツミルクの約8倍です。環境優先ならオーツや豆乳がさらに良い選択です。
要点
- アーモンドミルクの温室効果ガス排出量は牛乳の約4分の1、土地使用量は約10分の1です。
- アーモンドミルク1リットル生産に必要な水は約371リットルで、オーツミルク(約48リットル)の約8倍です。
- 世界のアーモンド生産の約80%がカリフォルニアに集中し、干ばつと地下水枯渇のリスクが指摘されています。
- 牛乳からアーモンドミルクへの切り替えで炭素排出を約75%削減できますが、オーツや豆乳に切り替えると水使用量も90%以上削減できます。
- アーモンド栽培はミツバチの重要な蜜源ですが、商業受粉のための輸送が野生花粉媒介者に影響を与える懸念があります。
- スペイン北部やイタリアなど降水量の多い地域で栽培されたアーモンドは、灌漑負荷が低いという研究があります。
スーパーやカフェで当たり前になったアーモンドミルク。ヴィーガンや環境意識の高い人に人気ですが、「水をたくさん使う」という批判も聞かれます。実際のところ、アーモンドミルクは環境に悪いのでしょうか?ここでは、水使用量や炭素排出量のデータを基に、他のミルクと比較しながら解説します。
簡潔に結論を述べると、アーモンドミルクは牛乳と比べれば総合的な環境負荷が低い一方で、水使用量は植物性ミルクの中で突出しています。温室効果ガス排出量は牛乳の約4分の1に過ぎず、土地使用量も約10分の1です。しかし、水使用量はオーツミルクの約8倍、豆乳の約13倍に達します。つまり、アーモンドミルクは「気候変動への影響は小さいが、乾燥地域の水資源には負荷をかける」という二面性を持つ選択肢です。
このページでは、オックスフォード大学の研究(Poore & Nemecek, 2018)を中心に最新のデータを整理し、産地別の状況や、あなたのライフスタイルに合ったミルク選びの実践的なアドバイスを紹介します。完璧な選択は存在しませんが、情報に基づいた選択は必ず可能です。
簡単な答え
アーモンドミルクは牛乳より環境負荷が総合的に低いですが、水使用量が多いのが欠点です。特にカリフォルニアなど乾燥地域での灌漑が問題となります。しかし、すべての植物性ミルクが同じというわけではなく、オーツミルクや豆乳は水使用量がさらに少ない選択肢です。
結論を先に言えば、アーモンドミルクは「環境に悪い」と断定するには単純すぎます。温室効果ガス排出量や土地使用量では牛乳を大きく下回る一方で、水使用量と地域的な水不足リスクという明確な弱点を抱えています。この二面性を理解した上で、自分の地域や優先する環境指標に応じて選ぶことが大切です。
なぜこの議論が起きるのか:背景と文脈
アーモンドミルクへの批判が特に目立つのは、その生産がカリフォルニア州に極端に集中しているためです。世界のアーモンド生産量の約80%が同州に集中しており(カリフォルニア・アーモンド協会、2023年)、同地域は慢性的な干ばつと地下水枯渇に悩まされています。メディアは「アーモンド1粒に水が要る」といったセンセーショナルな表現で報じることが多く、消費者に「アーモンドミルク=環境破壊」という印象を与えてきました。
しかし、この議論はしばしば比較の基準を誤っています。牛乳1リットルの水使用量はアーモンドミルクの約1.7倍であり、さらに乳牛の飼料(主にアルファルファやトウモロコシ)もまたカリフォルニアの灌漑に依存しています(Poore & Nemecek, 2018)。つまり、水問題はアーモンドに固有ではなく、現代の農業全体が抱える課題の一部なのです。
証拠
水使用量
オックスフォード大学の研究(Poore & Nemecek, 2018)によると、アーモンドミルク1リットル生産に必要な水は約371リットルです。これは牛乳の628リットルより少ないものの、オーツミルク(約48リットル)や豆乳(約28リットル)よりはるかに多い値です。アーモンドは木の実であり、成長に長い年月と大量の水を必要とします。
数値だけを見るとアーモンドミルクの水使用量は突出していますが、重要なのは「どのような水」が使われているかです。カリフォルニアでは灌漑水の多くが地下水に依存しており、干ばつ時に過剰汲み上げが問題となります。一方で、比較的降水量の多い地域(スペイン北部やイタリアなど)で栽培されたアーモンドは、灌漑負荷が低いという研究もあります(FAO, 2023)。つまり、水使用量は産地によって大きく変動するため、「アーモンドミルク=水使用量大」という単純化は正確ではありません。
温室効果ガス排出量
同じ研究では、アーモンドミルク1リットルあたりの温室効果ガス排出量は約0.7kg CO2換算とされています。これは牛乳の約3.1kgの約4分の1です。土地使用量もアーモンドミルクは牛乳の約10分の1で、環境全体への影響は牛乳より小さくなります。
排出量の内訳を見ると、アーモンドミルクの排出の約半分は栽培段階(肥料、農薬、灌溉ポンプの電力)に由来し、残りは加工・輸送・包装に起因します(Poore & Nemecek, 2018)。牛乳はこれに加えて、牛のげっぷ(メタン)や飼料生産からの排出が大きく、畜産特有の負荷があります。アーモンドミルクはこの点で、気候変動への寄与が小さい選択肢です。
カリフォルニア問題
アーモンドの約80%はアメリカ・カリフォルニア州で生産されています。カリフォルニアは干ばつが頻発する地域で、アーモンド栽培が地下水を過剰に汲み上げていると指摘されています。この地域依存性が、アーモンドミルクの環境評価を難しくしています。
実際、カリフォルニアでは2012〜2016年の干ばつ時に、アーモンド栽培が地下水消費の約10%を占めたとの試算があります(Pacific Institute, 2020)。しかし、その後、同州では地下水管理法(Sustainable Groundwater Management Act, 2014年制定)が施行され、灌漑効率の改善や点滴灌漑の導入が進んでいます。つまり、問題は認識されており、改善への取り組みも始まっているのです。
他の環境指標:土地利用と生物多様性
水と炭素に加えて、土地利用と生物多様性も重要な指標です。アーモンドミルクの土地使用量は牛乳の約10分の1(Poore & Nemecek, 2018)で、これは森林破壊や生息地の喪失を抑える効果があります。
さらに、アーモンドの花はミツバチの重要な蜜源であり、カリフォルニアの養蜂産業を支えています。ただし、商業的な受粉のために大量のミツバチが輸送されることで、野生の花粉媒介者への影響や、病気の伝播リスクが指摘されることもあります(Science, 2021)。この点は、アーモンドミルクの「隠れた環境コスト」として知られています。

数値で見る比較:主要ミルクの環境負荷
以下の表は、代表的な研究(Poore & Nemecek, 2018; その後の追跡研究)から得られた典型的な値をまとめたものです。数値は産地や生産方法によって変動することに注意してください。
| ミルクの種類 | 水使用量(L/リットル) | 温室効果ガス(kg CO2e/リットル) | 土地使用量(m²/リットル) |
|---|---|---|---|
| 牛乳 | 約628 | 約3.1 | 約8.9 |
| アーモンドミルク | 約371 | 約0.7 | 約0.9 |
| オーツミルク | 約48 | 約0.4 | 約0.8 |
| 豆乳 | 約28 | 約1.0 | 約1.3 |
✅ アーモンドミルクは炭素排出と土地利用では牛乳より大幅に優れる ⚠️ 水使用量は植物性ミルクの中で最も多い 📉 オーツと豆乳は水使用量でさらに持続可能
「Key stat:」Poore & Nemecek (2018) の分析では、牛乳からアーモンドミルクへの切り替えで、炭素排出を約75%削減できる(水使用量は約40%減)。ただし、オーツや豆乳への切り替えなら、さらに水使用量を90%以上削減できる。
実際の実践では
どれを選べばいいのか:段階的アプローチ
環境負荷を抑えたいなら、まずは牛乳から植物性ミルクに切り替えることが最も効果的です。その上で、水使用量が少ないオーツミルクや豆乳を選ぶと良いでしょう。アーモンドミルクを選ぶ場合は、産地や認証(例えば、水管理に配慮した農場からのもの)を確認することをお勧めします。
具体的な選び方の基準は次の通りです:
- 最優先:牛乳から離れる — どんな植物性ミルクでも牛乳より環境負荷は低い
- 次に、地域の水事情を考慮 — 水不足地域に住むなら、オーツや豆乳が無難
- アーモンドを選ぶ場合は、産地のラベルを確認 — スペインやイタリア産は散水負荷が低い可能性
- 有機やフェアトレードの認証をチェック — 農薬使用や労働条件にも配慮
- 実際に飲んでみて、続けられるものを選ぶ — 環境にも、自分の健康にも持続可能な選択を
コストと味のトレードオフ
カフェや市販品では、アーモンドミルクとオーツミルクが並んでいますが、コストや味の好みで選ぶ人も多いです。しかし、環境を優先するなら、オーツミルクの方が水使用量が少ないので、より持続可能です。地元産や有機のものを選ぶのも一つの方法です。
価格帯を比較すると、一般的に豆乳が最も安く、次いでオーツミルク、アーモンドミルクが高めです(日本国内の小売価格比較、2023年)。アーモンドミルクは独特の甘みと軽い食感があり、コーヒーとの相性が良いとされています。オーツミルクはクリーミーで、ラテやカプチーノに向いています。味の好みが環境選択と衝突する場合は、日常用と嗜好用で使い分けるのも一つの方法です。
アーモンドミルクを飲む際の具体的なヒント
- カフェでは「アーモンドミルクに変更」ではなく「オーツミルクに変更」 と頼むだけで、水使用量を大幅に減らせます。
- スーパーでは、原材料名の最初に「アーモンド」と書いてあるものを選ぶ(含有量が高い)と、水使用量あたりの栄養価が高まります。
- 自宅で作る場合は、無調整のアーモンドを購入し、水に浸してローカーボな自家製ミルクにする手もあります(ただし、栄養強化はされないため注意)。
コストとトレードオフ:環境・健康・経済の三角関係
環境コスト vs 健康効果
アーモンドミルクは乳糖不耐症の人や、乳製品アレルギーを持つ人にとって重要な代替品です。また、ビタミンEや不飽和脂肪酸が豊富で、飽和脂肪酸が少ないという健康上の利点があります(米国農務省, 2023)。
一方で、市販のアーモンドミルクの多くは砂糖や添加物を含んでいます。無糖タイプを選ぶか、成分表示を確認することが推奨されます。健康面を優先するなら、無糖・無添加のものを選び、カルシウムやビタミンDが強化されたものを選ぶと良いでしょう。
経済的なトレードオフ
環境負荷の低いオーツミルクや豆乳が、アーモンドミルクより安いことが多いのは朗報です。ただし、有機やスペシャルティのオーツミルクは割高になることがあります。地域の協同組合や量り売りを利用すれば、包装廃棄物を減らしつつコストを抑えられます。
✅ 環境コストは「水」で測るとアーモンドが不利 ✅ 健康面ではアーモンドの栄養価は高いが、添加物に注意 ✅ 経済面では豆乳とオーツがアーモンドより総じて安価
よくある反論
「アーモンドミルクは水を大量に使う」という批判
確かに水使用量は植物性ミルクの中で多いですが、牛乳と比較するとまだ少ないです。また、水の使用場所が気候変動の影響を受けやすい地域かどうかが重要です。スペインやオーストラリアなどでは、乾燥地でのアーモンド栽培が問題となっています。
ただし、この批判は「牛乳と比べた場合」という視点を失いがちです。牛乳の水使用量はアーモンドの約1.7倍であり、しかも牛乳は世界の多くの地域で同様に乾燥地灌漑に依存した飼料を使って生産されています。また、アーモンド栽培への灌漑技術の改善(点滴灌漑など)が進んでおり、水効率は年々向上しています。
「アーモンドミルクは環境に悪い」という意見
この意見は部分的な真実を含みますが、牛乳と比べた場合、環境負荷は総合的に低いです。環境団体であるWWFも、植物性ミルクは牛乳より環境に優しいとしています。ただし、すべての植物性ミルクが同じではなく、選択肢によって差があります。
「環境に悪い」と断言するのは、特定の指標(水使用量)を過度に重視する誤りを犯しています。総合的な環境影響(炭素、土地、水、生物多様性)を考慮すると、アーモンドミルクは牛乳よりはるかに良い選択肢です。ただし、オーツや豆乳がさらに優れているという事実も同時に認めるべきです。
「アーモンドミルクの水使用量は『仮想水』として他国に輸出されている」
この指摘は、カリフォルニア産アーモンドを輸入する国々(日本やヨーロッパ)にも当てはまります。輸入国は自国の水を使わずに、水不足地域の水を「間接的に消費」していると言えます。
この批判への対応は、産地の水ストレスを考慮した認証制度を広めることです。例えば、水フットプリント評価や、アーモンド生産者団体による水効率改善プログラムがあります。輸入国としてできることは、水ストレスの低い地域で生産されたアーモンドを選ぶことです。
地域から見たアーモンドミルクの環境問題
カリフォルニア(アメリカ)
世界最大の生産地であり、干ばつと地下水枯渇の危機が常にあります。しかし、同州の地下水管理法により、今後20年間で持続可能な利用への移行が計画されています。
スペインと地中海地域
スペインは世界第2位のアーモンド生産国ですが、南部アンダルシア地方では干ばつが頻発しています。一方、北部のカタルーニャやアラゴンでは、比較的降水量が多く、灌漑依存度が低い生産が行われています。ヨーロッパの消費者は、ラベルや原産地表示から、水ストレスの低い北部産を選ぶことができます。
オーストラリア
オーストラリアのアーモンド生産は急成長していますが、同国では水資源が限られており、灌漑農業に対する規制が強化されています。環境団体からは、アーモンド栽培を制限すべきとの声もあります。
🌱 地域別の選択ポイント:
- 日本に住むなら、輸入元の地域(カリフォルニア、スペイン、オーストラリア)の水事情を調べて選ぶ
- ヨーロッパなら、スペイン北部やイタリア産を選ぶと水負荷が低い
- 北米なら、カリフォルニア産の水効率改善プログラム参加農場を選ぶ
消費者としてできる次のステップ
最終的に、完璧な選択肢はありませんが、牛乳より環境負荷が低いことは確かです。自分の価値観や地域の状況に合わせて、複数の植物性ミルクをローテーションするのも賢い方法でしょう。
具体的なアクションリスト:
- 今週中に、日用品のミルクを1つ植物性に切り替える — まずは豆乳かオーツから始めるのがおすすめ
- カフェでの注文方法を変える — 「ラテをオーツミルクで」に変えるだけで、水と炭素の削減に繋がる
- 産地や認証を意識した買い物をする — 「水管理認証」「有機」のマークを探す
- 家族や友人と事実を共有する — 誤解のないよう、水と炭素の両面から説明する
- 地域の農産物をチェック — もし近くにアーモンドやオーツの生産者がいれば、直接買うことで輸送コストも削減
「Bottom line:」アーモンドミルクは水使用量が多く、乾燥地帯に依存していますが、牛乳と比較すれば総合的な環境負荷は低いです。完璧な選択はありませんが、「何をやらないか」よりも「何に切り替えるか」に焦点を当ててください。まずは牛乳をやめ、次に水使用量の少ない植物性ミルクを選ぶ。これが最も実際的で影響力のある一歩です。
まとめ:アーモンドミルクを巡る「環境」の本当の意味
アーモンドミルクは悪者でもなく、完璧なヒーローでもありません。それは、水使用量という単一の指標で評価するには複雑すぎる存在です。炭素排出、土地、生物多様性、そして地域の水資源など、複数の指標をバランスよく見る必要があります。
最終判断として、アーモンドミルクは「牛乳よりはるかに環境に優しいが、オーツや豆乳には水使用量で劣る」というのが現在の科学的コンセンサスです。もし「環境に優しいミルク」を1つだけ選ぶなら、気候変動対策としてはオーツミルク、水資源保護としては豆乳が有力です。アーモンドミルクを日常的に飲み続けたいなら、産地と農法に注意を払うことをお勧めします。
結局のところ、完璧主義よりも「より良い選択の継続」が重要です。1杯のミルクが環境に与える影響は小さいですが、1日1杯を1年続ければ、牛乳からアーモンドミルクに変えるだけで約870kgのCO2と約94,000リットルの水の節約になります(試算、Poore & Nemecek, 2018に基づく)。一見小さな選択も、積み重ねれば大きな変化になります。
トレードオフ全体像:どの指標を優先するかが決め手
アーモンドミルクの環境評価は、どの指標を重視するかで結論が変わります。炭素排出と土地利用ならアーモンドミルクは牛乳より明確に優れますが、水使用量と生物多様性への間接的影響では劣る部分があります。このトレードオフは「完璧な選択肢がない」というより、「自分の優先する環境価値観を明確にする必要がある」という意味です。
例えば、気候変動への寄与を最優先するならアーモンドミルクは良い選択です。一方、水資源の枯渇が差し迫った地域に住むなら、オーツミルクや豆乳のほうが理にかなっています。また、土地利用を減らすことで森林や自然生息地を守りたいなら、アーモンドミルクは牛乳よりはるかに優れています。
トレードオフを可視化する簡単な思考実験
- 気候変動重視派 → アーモンドミルクは牛乳より炭素排出を約75%削減でき、植物性ミルクの中でもオーツと並んで低炭素です。
- 水資源重視派 → オーツ(48L)や豆乳(28L)を選べば、アーモンド(371L)より水使用量を90%以上減らせます。
- 生物多様性重視派 → アーモンドの受粉に使われる商業ミツバチへの負荷を避けたいなら、オーツや豆乳が無難です。

このように、同じ「環境に良い選択」でも、指標次第で答えが変わります。重要なのは、どの問題が自分にとって一番切実かを理解した上で選ぶことです。
「Key stat:」IPBES(2022)の報告では、土地利用変化が生物多様性喪失の最大要因であり、この点では牛乳からアーモンドミルクへの切り替えが間接的に生態系保護に貢献します。ただし、水使用量という地域的な環境負荷は別途考慮が必要です。
よくある反論への丁寧な回答
よくある反論は「アーモンドミルクは水の無駄遣い」「環境に悪いのに流行っている」「ミツバチを犠牲にしている」の3つです。それぞれには部分的に真実がありますが、全体像を見失わせる誤解も含まれています。以下で個別に検討します。
反論1:「アーモンドミルクは水の無駄遣い」
確かに、水使用量は植物性ミルクの中で最大です。しかし、牛乳の水使用量はアーモンドの約1.7倍であり、しかも同じ乾燥地域で飼料が生産されています。水の「無駄遣い」を語るなら、まずは牛乳との比較を忘れるべきではありません。
さらに、水使用量は産地によって大きく異なります。カリフォルニアのような乾燥地帯では灌漑が必須ですが、スペイン北部やイタリアでは降雨だけで栽培できる地域もあります。つまり、「アーモンドミルク=水の無駄遣い」という一般化は、産地を無視した乱暴な結論です。
反論2:「アーモンドミルクは環境に悪いのか?」
この質問自体が誤解を生みます。環境に「悪い」か「良い」かは、比較対象なしには語れません。牛乳と比較すれば、炭素排出・土地利用・水使用量のすべてでアーモンドミルクは優れています。ただし、オーツや豆乳と比較すれば、水使用量では劣ります。
つまり、「アーモンドミルクは環境に悪い」というのは、オーツや豆乳を基準にした相対的な評価であって、絶対的な事実ではありません。この誤解が広がることで、消費者が牛乳を選び続けてしまう危険性があります。それこそが、環境にとって最も悪い選択です。
反論3:「ミツバチを犠牲にしている」
アーモンドの受粉には商業養蜂が使われ、ミツバチの輸送や病気リスクが指摘されます。しかし、実際にはアーモンドの花はミツバチにとって重要な蜜源であり、養蜂家にとっては経済的支柱です。問題は「犠牲」ではなく、商業受粉の方法そのものにあると理解すべきです。
改善策として、農薬使用の削減、開花期の避難場所確保、野生花粉媒介者の保護などが進められています(カリフォルニア大学デービス校、2022年)。消費者が「ミツバチに配慮した認証」を選ぶことで、この問題への圧力を減らせます。
日本在住者向けの地域視点:輸入依存と水ストレスのジレンマ
日本はほぼ全てのアーモンドを輸入しており、その約90%がカリフォルニア産です(財務省貿易統計、2023年)。つまり、日本の消費者は遠く離れた乾燥地帯の水を「仮想水」として間接的に消費している構造です。
この点は、アーモンドミルクを選ぶ際に特に重要です。日本は水資源が比較的豊かですが、輸入先の水不足問題は、自国の水を使わずに外部化しているとも言えます。一方で、オーツミルクは北海道や九州などで国産オーツが栽培され始めており、輸送距離を短縮できます。
日本でできる「地域に配慮した」選択肢
- 国産オーツミルクを選ぶ — 輸送に伴う炭素排出を削減し、日本の農業を支援できます。
- アーモンドミルクを選ぶ場合は原産地表示を確認 — カリフォルニア以外(スペインやイタリア)の産地を探すことも可能です。
- 無調整豆乳は日本の大豆から作られたものが多く、水使用量も最も少ない植物性ミルクです。
さらに、日本では豆腐や味噌などの大豆加工食品が古くからあり、豆乳は文化的にも馴染み深い選択肢です。この点を踏まえると、日本の消費者にとって豆乳は「環境にも文化にも合った」選択肢と言えます。
主要ミルクの総合比較表:あなたに合う選択を見つける
以下の表は、環境面(炭素・水・土地)に加えて、健康面とコスト面の典型的な傾向をまとめたものです。数値は代表的指標であり、個別商品や産地で変動します。
| ミルクの種類 | 水使用量(L/L) | 炭素排出(kg CO2e/L) | 土地使用量(m²/L) | 栄養(たんぱく質g/100ml) | コスト傾向 | 日本の入手しやすさ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 牛乳 | 約628 | 約3.1 | 約8.9 | 3.3 | 低〜中 | どこでも |
| アーモンドミルク | 約371 | 約0.7 | 約0.9 | 0.6(無糖) | 高め | スーパーで広く販売 |
| オーツミルク | 約48 | 約0.4 | 約0.8 | 0.5 | 中 | 増加中 |
| 豆乳 | 約28 | 約1.0 | 約1.3 | 3.0 | 低〜中 | どこでも |
🌱 総合的な結論:環境面だけなら、豆乳が最もバランス良く、次いでオーツ、アーモンド、最後に牛乳となります。ただし、豆乳は独特の風味があり好みが分かれるため、続けられる選択を優先してください。
実践チェックリスト:今日からできる5つの行動
このチェックリストは、環境負荷を確実に減らしたい人のための具体的な行動リストです。各項目は「今すぐできる」「数週間でできる」「中期的にできる」に分けています。
今日からできること
- ⚠️ 冷蔵庫の牛乳を確認する — 残っている牛乳を使い切ったら、次は豆乳かオーツに切り替える。
- 🌱 カフェでの注文を「オーツミルク」に変更する — アーモンドより水使用量が約85%少ない。
- ♻️ 無糖の植物性ミルクを選ぶ — 砂糖や添加物を避け、原材料表示でアーモンド含有量を確認する。
数週間でできること
- 原産地表示をチェックする — アーモンドミルクを買うなら、カリフォルニア産以外を探してみる。
- 地元のオーツや大豆を使った商品を支持する — 輸送距離を減らし、地域経済を支援する。
中期的にできること
- 自家製の豆乳やオーツミルクに挑戦する — 包装廃棄物を大幅に減らせるだけでなく、コストも低く抑えられます。
- 家族や友人と自分の選択をシェアする — データをもとに、牛乳との違いを伝えることで誤解を解く。
「Bottom line:」完璧な選択はありませんが、「そもそも牛乳に戻らない」という軸を持つことが最も重要です。アーモンドミルクは水使用量が多いものの、牛乳と比べれば総合的な環境負荷は低く、オーツや豆乳に切り替えることでさらに改善できます。まずは「牛乳から離れる」こと、次に「水使用量の少ない選択肢を選ぶ」という2段階で考えると、混乱が少なくなります。
次に読む
よくある質問
よくある質問
出典
- Poore & Nemecek (2018) - Reducing food's environmental impacts through producers and consumers
- California Almond Board - Almond Industry Facts
- Pacific Institute - The Water Footprint of California's Almonds
- FAO - The State of the World's Land and Water Resources for Food and Agriculture
- WWF - Plant-based milks vs dairy: environmental impacts
- Science Magazine - Pollination and bee health in almond orchards