迷信:アーモンドミルクは牛乳より環境に悪い
アーモンドミルクの水使用量は確かに多いですが、温室効果ガス排出量や土地利用など総合的な環境負荷は牛乳よりはるかに低いです。この迷信は部分的な事実を全体に拡大した誤解です。
更新日 · 2026年9月4日
簡潔な答え
ほぼ誤りです。アーモンドミルクの水使用量は牛乳より多いという点は事実ですが、温室効果ガス排出量、土地利用、富栄養化など他の指標を含めた総合的な環境負荷は、アーモンドミルクの方がはるかに低いです。
要点
- アーモンドミルクは牛乳に比べて温室効果ガス排出量が約3分の1です。
- 同じ量を生産するのに、アーモンドミルクの水使用量は牛乳の約半分です。
- 土地利用は、アーモンドミルクが牛乳の約10分の1です。
- アーモンドミルクの水使用量が多いという指摘は、カリフォルニア州など特定の産地に限った話です。
- 環境負荷を比較する際は、複数の指標を総合的に見ることが重要です。
「アーモンドミルクは牛乳より環境に悪い」という主張を耳にしたことがあるでしょうか。この迷信は、アーモンドの栽培に大量の水を使うという事実から広まりました。しかし、環境負荷を測る指標は水だけではありません。この記事では、最新のデータをもとにアーモンドミルクと牛乳の環境影響を公平に比較し、この迷信に科学的な回答を出します。
The claim
「アーモンドミルクは牛乳より地球に悪い」という主張は、特に2010年代後半にSNSや一部メディアで広まりました。アーモンドの木1本に必要な水の量や、カリフォルニア州の干ばつとの関連性が取り上げられ、アーモンドミルクが環境破壊の象徴のように語られることもありました。
この主張の背後には、アーモンドの栽培に大量の水を使うという部分的な事実があります。しかし、この議論では牛乳生産に必要な水や飼料、土地、そして排出される温室効果ガスなどが無視されていることが多いのです。
Where it comes from
この迷信の源流は、2015年頃にカリフォルニア州の干ばつが深刻化したときに遡ります。アーモンドの大半がカリフォルニアで生産されていることから、アーモンドミルクの水使用量が集中的に報道されました。
その後、2018年にイギリスの新聞が「アーモンドミルク1リットルには牛乳より多くの水が必要」という記事を掲載し、この主張が世界的に拡散しました。しかし、この記事は水使用量のみに焦点を当て、他の環境指標を考慮していませんでした。
What the evidence says
複数の研究を比較すると、アーモンドミルクの環境負荷は牛乳より総合的に低いことが分かります。オックスフォード大学の研究チームが発表したデータによると、牛乳1リットル生産時の温室効果ガス排出量は約3.2kgCO2eqであるのに対し、アーモンドミルクは約0.7kgCO2eqです。
水使用量に関しては、アーモンドミルク1リットルあたり約371リットル、牛乳は約628リットルというデータがあります。つまり、アーモンドミルクの方が水使用量は約40%少ないのです。
| 環境指標(1リットルあたり) | アーモンドミルク | 牛乳 |
|---|---|---|
| 温室効果ガス排出量 | 0.7 kgCO2eq | 3.2 kgCO2eq |
| 水使用量 | 371 L | 628 L |
| 土地利用 | 0.5 m² | 9.0 m² |
| 富栄養化 | 0.01 gPO4eq | 0.12 gPO4eq |
出典:Poore & Nemecek (2018)およびOur World in Data。
The kernel of truth
この迷信には、完全に間違いとは言えない部分もあります。アーモンドの栽培は、特にカリフォルニア州のように水資源が限られた地域では、地域の水ストレスに影響を与える可能性があります。
また、アーモンドミルク以外の植物性ミルク、例えばオーツミルクや豆乳と比較した場合、アーモンドミルクの水使用量は多い傾向にあります。したがって、地域の水資源や代替オプションを考慮することは重要です。
The honest verdict
「アーモンドミルクは牛乳より環境に悪い」という主張は、単一の指標だけを見た場合に生まれる誤解です。水使用量の絶対値だけを取り上げると誤解を招きますが、温室効果ガス排出量や土地利用、富栄養化など複数の指標を総合的に評価すると、アーモンドミルクの方が環境負荷は低いと言えます。
環境への影響を減らしたいなら、牛乳から植物性ミルクへの切り替えは有効な選択肢の一つです。さらに、地域の水事情を考慮してオーツミルクや豆乳を選ぶことで、より持続可能な選択ができるでしょう。
よくある質問